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|ギフティの人

チャレンジングな機会を与え、全力で伴走してくれる。ギフティ新卒第一号が、一線級で戦える事業スキルを身につけられた理由

スタートアップへの新卒入社というキャリアは、もはや珍しくありません。それでも、「ちゃんと成長できる体制が整っているの?」「一社目は大企業の方が無難では?」といったイメージを拭いきれない人も少なくないでしょう。

この記事で紹介するのは、大学在学中にギフティのインターンに参加してそのまま新卒入社した、事業本部所属の此下千晴。彼女はギフティの新卒一期生でもあり、現在は4年目にして、アライアンスや出資、M&Aの推進や新規事業立ち上げを手がけています。

大学時代は人文系の「考現学」を学び、当時はビジネスにはネガティブな印象を持っていたそう。ですが、「いまは世の中の役に立っている実感があり楽しい」とのこと。さらに、「絶対につながらないと思っていた、考現学とビジネスの共通点にも気づけた」と嬉しそうに語ります。

新卒入社してから、いかにしてマーケットに向き合い、結果として事業スキルも身につけていったのか。成長の軌跡を聞きました。

<プロフィール:此下 千晴(このした ちはる)>

慶應義塾大学総合政策学部卒業。大学時代は考現学、社会学を学ぶ。在学中から約1年半のインターンを経て、2017年4月に新卒一期生としてギフティに入社。事業本部に所属し、アライアンスや出資、M&Aの推進、新規事業の立ち上げなどを担う。

きちんとマーケットに向き合えば、“ヘルシー”に稼げる

──まず、此下さんが現在ギフティで担っているミッションを教えてください。

主にアライアンスや出資、M&Aの推進や、新規事業の立ち上げを手がけています。私が所属している部門「事業本部」のミッションは、中長期的で不確実性の高い、全社横断のプロジェクトを通じて、会社の成長を加速させること。これは事業本部に限らず、ギフティのBizdev全体にいえることですが、決まったサービスを売るのではありません。クライアントやエンドユーザーが「本当に求めているもの」を探求し続け、eギフトと組み合わせたソリューションを提供する役割を担っています。

──「本当に求めているもの」を提供できたと、実感したエピソードはありますか?

入社1年目に、あるゲーム会社のクライアントを担当していたときの話です。

当初は「Twitterのフォロワーを増やすためにeギフトを使いたい」というシンプルなご相談をいただいていました。ところが話を聞くうちに、eギフトをTwitterのフォロワーに配布するために使用予定のキャンペーンツールが、クライアントの要件と比較して機能過多で、高価すぎるとわかった。

それならば、eギフトと併せて使え、クライアント要件に沿った機能に絞って低コストで展開ができるキャンペーンツールまで、ギフティが開発してしまったほうがいいのではないかと思い至りました。ただ、当時そうしたツールをギフティが持っていたわけではなかった。それでも、これから開発することを前提にクライアントに提案した結果、「そのほうが低コストだし、高い成果も出せる」と、実施を決めていただけました。

このように、クライアントが「本当に求めているもの」を提供して売り上げを立てていけるのは、すごくヘルシーだな、と思います。

──クライアントのニーズに徹底的に向き合って、ゼロベースで施策を提案できる環境があるのですね。

しかも、このキャンペーンツールは他の企業からのニーズも見込めたため、『giftee campaign platform』として本格的にサービス展開することに。私と同じ年に新卒入社した篠塚大樹がプロダクトの責任者となり、いまではギフティで最も多くの売り上げを生むプロダクトに成長しています。

ギフティは、言われるがまま個別のシステムを開発するのではなく、さまざまなクライアントの課題の最大公約数を見つけ、プラットフォームで解決するアプローチが得意です。プラットフォームを構築すれば、企業が個別にシステムを開発したり、ベンダーに交渉したりする必要がなくなり、社会的なコストも削減されていくと思っています。

何より、「マーケットに向き合う」姿勢を大切にしています。マーケット全体のあるべき未来像を描いたうえで、各ステークホルダーがどのような状態であるべきかを俯瞰的に考え、意思決定をする。キーワードは「長期」と「価値」ですね。このスタンスがあるからこそ、「本当に求めているもの」を提供できるし、結果的に事業の持続可能性も生まれているのだと思います。

ビジネス知識ゼロで大型案件を一任、でも乗り切れたワケ

──此下さんは新卒でギフティに入社していますよね。大事なファーストキャリアで、ギフティというベンチャーを選ぶことにした決め手は何だったのでしょう?

中高生の頃から、なぜか「国や大企業を動かしている“強いオジサン”の思い通りに生きるのは嫌だ……!」という反発心を持っていました(笑)。ですから、早く強いオジサンたちと同じ土俵で戦える強さを身に付けたいと思い、就職活動をはじめたときはベンチャーを中心に話を聞きに行っていました。意思決定をする人たちの近くで働けたほうが、早期に多くのことを学べそうだと感じていたからです。

でも、ベンチャーでも「やる気」や「やりがい」頼みの力技で売り上げを積み重ねていくタイプの会社が多くて。「熱量は高いけれど、持続可能性がないな」と思ったんです。

そうして悶々とする中で、ギフティの話を聞く機会がありました。代表取締役の太田睦や鈴木達哉は、「eギフトが当たり前に使われる文化をつくりたい」と言っていた。そして、流通額を増やすためにはeギフトで扱える商品を増やすことが大切で、まずは他のブランドが参加しやすくなるパートナーと組むことが必要なんだ、と。

発券から流通まで一気通貫で提供するプラットフォーム構想と、それを実現するための戦略を聞いて、「なんて地に足のついたベンチャーなんだ!」と感銘を受けたんです。そして言うだけでなく、スターバックスにeギフト販売システムを提供するなど、すでに大手企業との取り組みを始めている行動力にも驚きました。

当時ギフティは、まだ十数名しかメンバーがいませんでした。いきなりベンチャーで働く不安が全くなかったわけではありません。でも、「こんな地に足のついたビジネスモデルや戦略を描けて、実行力もある人たちから、ビジネスを学んでみたい!」という想いが勝り、入社を決めました。

──実際に働いてみて、どんな会社だと感じましたか?

自分の実力を上回るレベルの仕事を任せてくれて、それだけでなく全力で伴走してくれる会社だと感じました。

入社してすぐ、大手自動車メーカーの案件を任されたんです。先方の役員へのプレゼンを3ヶ月後に控えているものの、ビジネスの知識は全くないし、進め方もよくわからない。なんとかプレゼン資料を作成しても品質は低い。

──絶望的な状況ですね……!

でも、直属の上司である鈴木(代表取締役・鈴木達哉)が全力でフィードバックしてくれて。私が自力で結論を出せるよう、時間をかけて丁寧にサポートしてくれました。その思考過程を目の当たりにして、「ここまで考え抜くんだ!」と驚きましたね。

単に実力以上の機会を与えるだけなら、そんなに難しいことではないと思うんです。でもギフティでは、社員が自力で乗り越えるまで、全力でサポートしてくれる。若手メンバーが適切な成長機会を得て、最大限活用できるよう、しっかりと投資をしてくれる点が素晴らしいと思いました。特に鈴木からは、現在でも多くのことを学んでいます。

──鈴木さんからは、これまでどんなことを学びましたか?

たくさんありますが、最も学んだ点が多いのは、クライアントや協業先のパートナーとの向き合い方ですね。商談に同行するといつも思うのですが、相手と対峙するのではなく、横に立つスタンスなんです。実際にやっていることは「交渉」なのに、まったくそんな感じがしません。狡猾なコミュニケーションは取らず、いつも正直に話していて、それでいて結果に結びつけている。美学があるなと感じます。

同じ方向を見ることができれば、クライアントやパートナーも楽しくなる。ゴールしたときにハイタッチしあえるくらい、気持ちのいい関係性が築けます。そしていつの間にか、好きな人とばかり仕事をしている状態になるんです。私もそうしたスタンスで相手と向き合えるように、鈴木の背中から学んでいる最中です!

「n=1」に向き合う──考現学とビジネスの意外な共通点

──大学では「考現学」を学ばれていたんですよね。どんな学問なのでしょう?

現代人の生活を対象に記録・研究する学問です。遺物から過去を探る「考古学」をもじって名付けられました。社会学は統計を使った研究手法で世の中を理解しようとすることが多い一方、考現学は個別具体的な事象に着目し、現代に生きる普通の人たちについて研究します。もとから漠然と「数字だけでは理解しきれない領域が絶対ある」と思っていて、一人ひとりが何を考え、どう生きているのかに興味があった私の志向性にフィットしていました。

──では、ビジネスにまつわる領域を学んでいたわけではなかったのですね。

ええ。それどころか、ビジネスに対してはネガティブな印象を抱いていました。「情報の非対称性で儲ける」とか、「相手を半ば騙して稼ぐ」とか(笑)。でも、いま思えば、これらは知識不足から来る先入観にすぎませんでした。ギフティで働き始めると、その印象は徐々に打ち砕かれた。入社2年目には、なんと考現学との共通点も見つけられたんです。

──共通点があるんですか?

はい!鈴木に勧められて読んだいくつかのビジネス書に、「これからは『n=1』が大事な時代だ」といった内容が書かれていました。インターネットが発達した現代は、顧客がたくさんの情報を得られるようになったので、一人ひとりが本当に望んでいるものを起点に商品設計やマーケティングをしなければ企業は生き残れない、と。

そうした考え方を知ったとき、「考現学と同じだ!」と気づき、感動して泣きそうになりました(笑)。社内のメンバーにも、思わず興奮しながらその発見をシェアしたことを、よく覚えています。

──鈴木さんに勧めてもらった本が、ビジネスへのイメージを変えるきっかけになったのですね。

ギフティには読書を大切にする文化が根付いていて、日常的に本を推薦しあったり、感想をシェアしあったりしています。私もギフティに入ってから、相当な量の本を勧められて読んできました。

特に印象に残っているのは、いまご紹介した話が書かれていた『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』(クレイトン M クリステンセン著)と、『Subject To Change ―予測不可能な世界で最高の製品とサービスを作る』(ピーター・マーホールズ他3名による共著)、『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング』(西口一希著)の3冊。いずれも鈴木に教えてもらった本です。もしかしたら、私の考現学的な興味関心に合う本をセレクトして、ビジネスの面白さに気づけるように促してくれたのかもしれません(笑)。

自分より「世界」に興味があり、組織の“余白”を楽しめる人がフィットする会社

──今後は、ギフティでどんなことを実現したいですか?

「人と繋がりたい」「気持ちを伝えたい」と思ったときに、それを気軽に実現できるeギフトを、多くの人が当たり前に使う文化をつくりたい。そのために、引き続き、会社の規模を加速度的に拡大することに貢献していきたいです。さまざまな業界の方々が抱える課題を解決し、目指す世界の実現をサポートしていけるよう、eギフトの枠にとらわれることなく価値を創造できるよう、模索していきます。

──そうした目標を実現していくうえで、いま向き合っているご自身の課題はありますか?

任せてもらう仕事が大きくなるにつれて、向き合う問題がだんだん複雑になってきたと感じています。どんなクライアントやパートナーとも「同じ方向を向く」関係性を築けるように、ステークホルダーの皆さんの思惑や事情を解きほぐして課題を構造化する力、適切な打ち手を設計する力を伸ばしていきたいですね。

──最後に、これからギフティの仲間に加わるかもしれない方へのメッセージをお聞きしたいです。どんな人がギフティに向いていると思いますか?

「自分がどう見られたいか」よりも、「世界がこうあってほしい」を優先して考える人が向いているのではないかと思います。そうした人は興味が自分の外側にあるので、マーケットに向き合う感覚を共有しやすいと思います。

また、現在のギフティは、事業や組織の変化スピードがとても速い。ですから、いまのフェーズでは、決められたものをこなしていくのが好きなタイプの人は、あまり向いていないかもしれません。組織に“余白”のある状態の方が実力を発揮できる気質であれば、働きやすいと感じると思います。

入社4年目を迎えて、事業を作っていくのは、結局「人」なんだなと実感しています。世の中に提供する価値を増やしていくには、さまざまな視点や価値観をお持ちの方が加わってくださることが重要だと思います。ご興味をお持ちいただける方は、ぜひ話を聞きに来てください!

(取材・文:一本麻衣、撮影: 須古恵、編集:小池真幸