エンジニアがいる限り、この仕事は終わらない。ギフティの開発環境を支える「攻めと守りの仕組みづくり」
eギフトを手軽に贈ることができるgiftee、デジタルギフトを法人に利用してもらうためのgiftee for Businessなど、to C、to B、各事業やプロダクトが広がりを見せる中、エンジニアリング組織としてそれらを支えている技術本部。
その中で、Platform Unitという新たな組織の一員として、会社共通の技術的課題の解決を図っているのが、入社2年目のエンジニアSさん。エンジニアメンバーの仕事を支える立場にあり、「攻めと守りの仕組みづくり」をしていると話します。
会社全体を支える難しさ、やりがいとは、メンバーとの関わりの中で工夫していることなどについて、インタビューを通して伺いました。
〈プロフィール〉
2016年大学院卒業後、大手 Web 企業に入社。インフラエンジニアとして研鑽を積んだあと、外資系 IT クラウドベンダに転職。その後 2021年9月にギフティに入社。
ルールは「縛る」ものではなく、「安心を与える」もの
──現在、どのような業務を担当されているのでしょうか。
Platform Unitという組織でエンジニアをしています。ギフティには多くの事業やプロダクトが存在しますが、その裏側で使われるような基盤の構築・運用や、会社共通の技術的課題に関するルール作りに携わっています。
最近の具体的な仕事は、データ基盤の構築、セキュリティ構成のガイドライン作成、エンジニアの生産性を向上させるための各種 SaaS 導入・運用といったものです。
CTOの柳瀬との二人三脚のチームで、社内でも特殊な位置づけでして。これまでプロダクト間を横断するような組織というのは、ギフティにはなかったんです。会社の規模が大きくなってくると、それぞれのセクションが同じものを作るのでは効率が悪く、またセキュリティ面の考慮や、会社としてガバナンスを効かせるためにも、より横断的なものが必要になってくる。
そういったことをワーキンググループで解決するのではなく、それ専門の組織として作ってしまおう、という流れができまして。
──組織横断で基盤まわりや開発標準の整備を行うと。具体的にはどのようなことをやっているのですか。
大きく分けると、攻めと守りの二軸があります。攻めは「いままでなかった価値を提供する」という意味で、プロダクト成長を後押しするような、いまのサービスにプラスアルファの価値を足していくもの。
たとえば、eギフトの生成・販売サービス「eGift System」と、to C向けサービス「giftee」では、これまで別々にデータを持ち、横断して見ることができませんでした。ここにPlatform Unitの運用するデータ基盤が入ることで、各プロダクトをまたいだ分析や、横串でのデータ抽出などができるようになる。
いままで漠然と把握していたものの、定量的には出てこなかったデータなどが明らかになってくるんです。「“多分”これは二十代女性が使ってる」とあいまいに捉えてきたものが、「これは二十代女性が使ってる」と断定的に把握できるようになる。
ギフティには、多くの事業やプロダクトがありますが、それぞれシステムが違い、当然持っているデータも異なります。総合的に見られるようになることで、業務全体の解像度が上がっていく、ということです。
一方で、守りというのは、意味どおり、エンジニアが働きやすい、プロダクトを開発しやすい環境を作るということ。ガイドラインや、標準となる仕組みを考えていく。
作りたいのは、エンジニアの邪魔になるものではなく、これさえ守っていれば、開発に集中できる、というもの。ルールには「縛る」という窮屈なイメージがありますが、本当は「安心を与える」ものです。ルールを別の言葉で表現するなら、ガードレールのようなイメージです。ガードレールの敷かれていない道路は、走っていてなにかあったときに怖いですよね。
むしろルールが存在することで、エンジニアがあれこれ考えず、本質的なプロダクト開発に集中できる、そんな環境を作っていきたい。そういう意味では、どっちも「攻め」と言えるかもしれません。
トップダウンにならないために、常に「物語」を共有する
──ルールがあるからこそ、本当に必要なことに時間を割ける。攻めと守りは表裏一体ということですね。仕事をするうえで心掛けていること、意識していることなどはありますか。
コミュニケーションのミスマッチが起きないように、というのは常に考えています。Platform UnitはCTO直轄の組織で、エンジニアメンバー全体に関わるようなことを決めているので、そういうポジションというのは、ともすると権威的で、ご意見番のようになってしまうことがある。
僕たちが「こうしたほうがいい」「こういうルールにしたいと思います」と決めたことが、全社的な決定事項としてトップダウンに伝わってしまい、「この人たちが決めたことだから」と受け取られてしまうと、組織としては健全ではない。
ギフティは、もともとボトムアップでやってきたところがあるし、プロダクト側の裁量に任されてきた部分が大きい。だからこそ、決定事項を伝達する際には、ちゃんとフィードバックができて、お互いに意見が言い合えるような雰囲気をつくっていきたい。
そのために、まずはしっかり「経緯」を伝える必要があると思っていて。中でも、記録を残す、という作業は大事にしています。決定にいたるまでのストーリー、プロセスを書いて、それをメンバーに伝えていく。
断片的でも、整っていなくても、常にメモを残して、それをドキュメントツールで共有する。表層のメッセージだけではなく、ちゃんと細かい意図なども含め、発信するようにしています。
──ただ伝えるのではなく、同時に背景も知ってもらう。細かい部分も共有すれば、認識のずれも生じませんし、なによりフラットな関係を保てますよね。
はい。でもギフティって、もともと「属性で見る」といった文化があまりなくて。年次が高くて偉い人だから話しかけづらい、とか、そういう年功序列な感じがまったくない。
僕はエンジニアとの関わりが主ですが、みんな優しくて話しやすい。思いやりもあるし、必要以上の気遣いもいらない。CTOともフラットに仕事ができています。
だから、僕が思うようなトップダウンな感じには、そもそもならないのかもしれない。上司だから、他チームのマネジャーだから、と立場を気にしたやりとりがない。どのチームも、メンバーも、みな「個」として接している印象です。
「プロダクトを開発しているメンバーの助けになりたい」その一心
──仕事をするうえでやりがいを感じたり、楽しいと思ったりする瞬間は、どのようなときですか?
ギフティには、技術に優れ、サービスやプロダクトをつくることを楽しんでいる人がたくさんいます。僕はどちらかといえば、そういう人が安心して仕事できる環境をつくる、ということに喜びを感じる。他の人が上手くいってるのを見るのが好きというか。
裏方で、よく言うと縁の下の力持ち。もともと、あまり前に出てなにかをやるタイプではなくて、一歩引いたところからサポートするほうが性に合ってるんです。
とくにこのPlatform Unitでは、ひとつ仕組みを作ると、それが会社全体に適応されたりする。いままでにはないやりがいですね。それに、ギフティにはいろいろと面白い事業があって、それぞれにメンバーやチームがいる。そういった雰囲気を見られるというのは、Platform Unitの大きな魅力だと思います。
それに、この仕事って「終わる」ということがないんですよね。エンジニアを取り巻く環境は日々変わっていきますし、そもそもエンジニアがいる限り、僕の仕事がなくなることはない。常に使命とやりがいが存在する。
これからは、もっとさまざまな技術を知って、事業やプロダクトに詳しくなっておきたい。開発メンバーの助けになりたいので、なにかあったときに、先回りしてサポートできるのが理想。「これって、こういうサービスのこういう改善に使えるのでは」と常にアンテナを張っておきたいですね。
──最後ですが、ギフティにどのような人が入ってきてほしいですか。
サービスを届けたい、ものづくりをしたい、と日々考えている人。自分たちのサービスがユーザーに使われる、という実感を味わいたい人には、とても良い環境だと思います。
ギフトを通して人を幸せにする、社会をよくする、ということをギフティメンバーは本気で考えているので、そういう人と働けるのはやっぱり幸せなことです。
あとは、好奇心旺盛でいろいろ楽しめる人ですかね。好奇心がないと、変化を楽しめなくなる。Platform Unit という、プロダクトを横断して課題を解決するための組織が出来たように、会社のフェーズもどんどん変わってきているし、解決したい課題も移り変わっていきます。そうした変化に柔軟に対応できる人がいいと思います。
(取材・文・撮影・編集:清水 翔太)