「事業が変われば、法律も変わる。だから楽しい」──法務の立場から見た、ギフティ事業の魅力
「”攻めの法務”と”守りの法務”のバランスを取る」
2021年10月にギフティへ中途入社した法務担当の服部大さんは、日々の業務で、このことを意識しています。
事業部からの法務相談では、どうしても無理なものは「ダメ」としっかり伝えつつ、少しでも余地があれば「どうやったらできるか」と懸命に考える。入社してまだ半年とわずかながら、日々業務について勉強、前職で得た知見を活かしつつ、ギフティの進むべき道を、法の観点からサポートしていきます。
〈プロフィール 服部 大(はっとり だい)〉
東京都立大学法学部、関東学院大学法科大学院卒業後、新卒で弁護士法人へ入社。パラリーガルとして約2年勤務したのち、港湾・物流を取り扱う企業で法務として国内外の法務業務に幅広く携わる。その後、2021年10月にギフティへ法務担当としてジョイン。事業部からの相談やトラブルの対応などを行っている。
スキーム段階から関わっていく。法務は「最後の砦」ではない
── 服部さんは現在、どのような業務を担当しているのですか。
コーポレート本部という部署で、社員としては一人で法務を担っています。業務内容は、契約書のチェックや日々の事業部からの法務相談など。新規サービスがどんどん生まれる会社なので、商標や特許、知的財産の管理、申請業務なども多くやっています。
中でもウェイトを占めるのが法務相談ですが、すぐに答えられるものもあれば、逆に僕から質問をして、事業のことを深く知ったうえで一緒に考えていく、というパターンも多いです。
たとえば直近だと、個人情報保護法の変更を受けて、『giftee campaign platform』というキャンペーンの表示画面の注意事項や、記載する規約などの変更業務に携わりました。
今回の改正で制約となる部分もあったため、はじめに全体のトライアル画面を見て、法の観点から、“べき論”で組み立てていく。そこから開発のことを考えて、骨組みは維持しつつも、いかに開発工数を減らしていくかを検討する。「こう書くこともできるよね」といった話を、プロダクトの担当と話していくんです。
どういう風に使われるツールで、何をリスクヘッジしなければいけないのか、こちらもヒアリングして、事業のことを知る。そうやって、プロダクトの見直しから、要件まで検討して、エンジニアの人たちに説明しにいく。「法務は法務」という風に独立している会社が多い中、このように事業と法務の両方を経験できるのは、ギフティのいいところだと思います。
──前職で企業法務をやられていた際は、あまり事業に踏み込むことはなかったのでしょうか。
前は、物流やプラント、港湾などを扱っている会社で働いていました。そこでは、歴史の長い事業を扱っていたため、難しくはあるもののある程度解釈が固まっている問題が多くて、全く新しい事業について法務が新たに何かを考えたりすることって、あまりなかったんですよね……。
対してギフティは、事業分野もeギフトだけでなく、実際にモノを扱ったり、to C、to Bに限らず、ふるさと納税の関連事業でto G(Government)まであったり、ほんとうに多岐に渡っています。
次々と新しいことが生まれるため、構想の段階から一緒につくっていく、というのはよくあることですし、それがやりがいのひとつでもあります。法務って普通だと、すべて固まったあとで、最後の最後のチェックみたいなパターンが多いんですけど、ギフティでは、わりと早い段階からジョインできる。法的にまずいと気づけば代替案を考えて「スキームの段階からやり直しませんか」と、気軽に言うことができるんです。
15分の質疑応答が1時間に。「事業部メンバーの法務への関心に驚いた」
──事業部にとっても、早い段階で法務に入ってもらえるのは、安心かもしれないですね。
そうだと嬉しいです。ギフティの事業部には、法律や規則について積極的に知ろうとしてくれている方が多い気がします。本来、法務って煙たがられるというか、事業からは独立したお固いイメージがあると思うんですけど、ギフティではそんなことなくて。
以前、法改正の関係で研修会を開こうと思ったことがあったんですけど。「マネジャーを対象に勉強会をやりたい」という話をしたら、それぞれが関係者を呼んでくれて、はじめは20人想定だったのが、気づけば70人ほどに。
講義後の質疑応答も、15分で想定していたんですが、みなさん意識が高くて、1時間くらい手が上がり続けたんですよ。
──それは、法務担当としては感動しますね(笑)
この会社の人は、自分のサービスやプロダクトについて、ほんとうに自分ごとで考えてるんだなと、強く感じました。どこの会社でもわりとそうだと思いますが、これまでは説明会を開いても「シーン」みたいな空気がデフォルトでしたし、法改正なんて、講義をしても「で、どうやんの?」といったスタンスで(笑)
ギフティメンバーのすごいところって、何かひとつ問題が発生したときに、その解決だけのための知識を聞いてくるのではなく、「この場合はどうなんですか?」と、広がりのある質問をしてくれるところなんですよね。
一つ得た知識を、ほかのプロダクトに使えないか、と常に考えている。法務もそれに対応する広い知識を持たなければいけないんですけど、そうやって自分も成長できるから楽しい。
事業についてもっと深く知っていかなきゃな、とより思うようになりました。こちらからはプロダクトについて聞くし、事業部もいろんなことを聞いてくれる。とてもいい関係が築けていると思います。
ギフティには「何事も自分ごと化する」という文化がある。それは、事業や法務といった部の垣根をまたいでも、そう。メンバーみんな、それが体現できていると感じます。
法務に求められる「攻め」と「守り」の両輪
──仕事をするうえで、大事にしていることなどはありますか。
守りすぎない、というところですかね。法務の分野では、よく“攻めの法務”と“守りの法務”という言い方をするんですが、このどちらが欠けてもバランスを崩してしまう。
たとえば“守り”というのは、トラブルになったり被害が出たり、といったことを未然に防ぐという意味。事業部からすると、受注する案件は絶対に通したいと思うのが普通ですが、法的に通せないものについては、ちゃんと「ダメ」と言ってあげて、被害が出るのをふせぐ。中途半端にNGを出すのではなく、はっきり伝える。これが僕なりの守りの法務です。
他方で、一見「ダメ」であっても、法の解釈だったり考え方だったり、少し事業内容を変えたりすることで、「これならできるのでは?」というラインまで持っていけるものもある。この姿勢が、“攻め”です。
たとえば新規プロダクトについて考える際、何かの免許登録が必要かもしれないとなったら、どうすればその登録が不要になるのか、どうやれば適法に突破できるか、といったことを考えていく。
マニュアル的に「これも気にしなきゃいけないんじゃないですか」と突き放すのは、法務として無責任ですから。とくに新規事業を立ち上げる際、スピードと自由度をあげるためには、気にしなければいけない法律や規制を最小限にしていくということも、必要だと思っています。
──とことん事業の側に寄り添って考えると。法務1人だと、なかなか大変じゃないですか…?
はい、大変ですし、なかなか案が出ないこともよくあります(笑)。ただ、何をするにも、やっぱり下調べが重要で。規制などを洗い出して事業部に展開しつつ、あわせて顧問弁護士や、その業界に詳しい弁護士にヒアリングする。そういった地道な工程の連続です。
ギフティの事業自体も、当初は電子でギフトを渡すというものが主でしたが、いまではどんどん広がってきている。それぞれの事業に法規制があって、対象の法律が変わる。そういう難しさがあります。
でもその作業って、とても楽しいんですよね。自分に知識がないことをネガティブに捉えるのではなく「知らなかった、なるほど」と楽しみながら、吸収していく。
今後、もっと先進的なことを事業にする際、そもそも法の整備がされていなかったりするかもしれない。ワクワクしますよね。新しい分野と一緒に法務も成長していくというのは素晴らしい流れだし、企業法務としてのひとつの楽しみじゃないかと思います。
「人間、新しいことをやったほうが楽しい」変化を楽しめる人が残っていく
──服部さんは、今後どのようなことに挑戦していきたいですか。
アライアンス関連の事業が面白いなと思っていまして。ギフティでは事業ごとに多くの協業先がいるのですが、それぞれで両者のサービスの連携などについて考える、検討の場をつくっているんです。スキーム段階から法務も入っていくから、一緒にプロダクトやサービスをつくっていく感じが味わえて、楽しい。
前の会社では、協業先といえるものはあまりなくて。大半がグループ会社化するものの、シナジーを生んだりするのは、なかなか難しかったんです。でもギフティでは、いろんな会社と並走している感じがする。
「こういう技術がギフティと絡むんだ」と発見の多い毎日で。今後もアライアンス先は増えていくことでしょうし、そういう場に、自分が法務として関わっていけるのが、ほんとうに楽しみです。
──半年以上働いてきた中で、服部さんは、どのような人がギフティに向いていると思いますか。
「変化を楽しめる人」だと思います。僕は、まったく別の業界から入ったので、この業界の法律を1から学んだんですよ。でも、それがすごく楽しかった。自分が知識をつけて、それを事業部に伝えていくと、次の打ち合わせでは、それがみんなの前提知識になる。地道だけど、これを繰り返していく。
制度としても、法務体制がバッチリ敷かれているわけではない。これからもっと知識やノウハウの蓄積、体制の構築をしていく必要があります。そういうことを、前向きにやっていける人がいいかと。
人間、新しいことをやったほうが楽しいじゃないですか。eギフトの会社だけど、これからも事業は広がっていくし、関わる人も増えていきますから。
(取材・文・撮影・編集:清水 翔太)