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|ギフティの人

「スコープ外で頑張っても無駄」に覚えた違和感──事業会社のギフティだからこそ得られるエンジニアリング環境とは?

受託開発か、自社開発か。エンジニアであれば、キャリアを考える際、一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。

大学時代にギフティでアルバイトをしていた加藤は、新卒で大手SIerに入社。クライアントの業務システム開発に携わる中、「与えられた業務を、時間内に正確に終えることだけが評価される働き方は、何か違う」と感じ、ギフティに戻ってきました。

受託開発と自社開発では、エンジニアの働く環境はどのように異なるのでしょうか。前職では「かなりプレッシャーを感じていた」そうですが、「いまは毎朝希望を持って起きられます」と笑顔で話す加藤に、ギフティの魅力を語ってもらいました。

<プロフィール:加藤 宏志(かとう ひろし)>

慶應義塾大学 環境情報学部の在学中、ギフティで1年半アルバイトを経験。その後2012年4月にアクセンチュアに入社し、システムエンジニアとして業務システム開発を担当。2014年8月にギフティに転職し、大手コーヒーチェーン専門部署、BtoB向けチケット発行プラットフォームの開発・運営を経て、現在はCtoCカジュアルギフトサービス『giftee』の開発を担当。

開発だけでなく、企画から組織づくりまで幅広く担当

──加藤さんはエンジニアとして、ギフティでどのような業務を手がけているのですか?

店舗で引き換えできるデジタルギフトをオンラインで気軽に贈れる、CtoCカジュアルギフトサービス『giftee』の開発です。

『giftee』にはWeb版とアプリ版があって、僕は後者を開発するチームに所属しています。Web版は幅広い人に使ってもらうツールとして提供しているのに対し、アプリ版はコアなユーザーに繰り返し使ってもらうことを想定しており、「いかに生活の一部にしてもらうか」という観点で開発を手がけています。

最近は、アプリ版のリニューアルプロジェクトに取り組んでいます。アプリ版の提供開始から、もうすぐ丸5年。使われている技術が古くなると、運用や改修がしにくくなります。ですから、これから新しい機能をどんどん追加していけるように、リニューアルする必要があるんです。

──加藤さんはチームの中で、どのような役割を担っているのですか?

企画から開発まで、幅広く担当しています。肩書は「エンジニア」ですが、チームの中ではシニアなメンバーの一人なので、みんなが意見を言いやすくなるような雰囲気づくりも心がけていますね。

僕はギフティの社員数がまだ10人以下だったときに入社したのですが、組織が大きくなるにつれて、自分の役割もどんどん広がっていきました。コードを書くだけでなく、エンジニア向けの勉強会を開いたり、採用にも携わったり、評価制度を含めた会社全体のルールをつくったり。

当初は人数が少なかったので、役割にとらわれると仕事が進まない状況だったのが、正直なところです(笑)。でも、急成長中の組織で働いてきたからこそ、会社全体にとって必要な行動を取る機会が、自然と得られたのだと思います。

大切なことは、プログラミングの“外側”にある

──加藤さんが取った「会社全体にとって必要な行動」で、特に印象に残っているものは何でしょう?

僕がアプリ版のチームに入ったばかりの頃は、エンジニアとデザイナーの間でのコミュニケーションが、十分に取れていませんでした。さまざまな試行錯誤の結果、その溝をある程度解消できたことが、印象に残っています。

デザイナーにはデザイナーの、エンジニアにはエンジニアの譲れない部分があるので、そのままでは理解しあうことは難しい。でも、それぞれの強みを活かしてサービスをつくるには、きちんと話し合い、目線を合わせる必要があります。

──どのように溝を埋めていったのでしょう?

最初にプロトタイプを書き、それをもとにエンジニアとデザイナーでブラッシュアップしてもらうアプローチを試してみました。それまでは、ミーティングをしても、お互いに理解しあえないまま終わってしまうことがほとんどでした。でも、共通して見られるものが一つできただけで、会話の質が変わり、適切な妥協案を出せるようになってきたんです。

サービスをつくる上で、コミュニケーションは本当に大切だと思っています。エンジニアは、ついコードを書く作業にばかり集中してしまいがちですが、大事なことはプログラミングの“外側”にあるケースが多い。過去の仕事を振り返ってみても、チーム内のコミュニケーションがプロジェクト成功の鍵を握っていたことがほとんどでした。

主体的にバグを直したのに、怒られた──受託開発が合わなかった理由

──入社するまでの経歴について伺わせてください。大学時代にギフティでアルバイトをしていたそうですが、新卒ではアクセンチュアに入られたのですよね?

はい。いまでこそギフティはBtoBにも事業を拡大しており、さまざまな業種・業界の企業との取引がありますが、僕がアルバイトをしていた頃はCtoCの『giftee』しかなく、ビジネスパートナーの種類も決して多くはなかった。もう少し幅広い業種・業界に携われる会社で視野を広げたいと考え、アクセンチュアに入社しました。

──アクセンチュアではどんな仕事をしていたのですか?

クライアントの業務システムの開発です。入社して初めてプロジェクトにアサインされると、まず上司に「お客さんは、あなたに対して1ヶ月150万円のお金を支払っています。それに見合う価値を出してください」と言われるんです。プロジェクトごとに必要な知識をインプットする期間も、2週間ほどしかない。そこでキャッチアップしきれなかったり、プロジェクト開始後であっても作業が間に合わなかったりすると、すぐに案件から外されてしまいます。いま思い出しても、かなりプレッシャーがかかる職場でしたね……。

そのような環境で働いているうちに、「与えられた業務を時間内に正確に終えることではなく、自分の考えをサービスに反映させ、ユーザーからの共感を得ることによって評価されたい」と思うようになりました。さらに、自分がアクセンチュアにフィットしないと確信することになった、決定的な出来事もあって。

──何があったのですか?

自分の書いたコードではなかったのですが、システムにバグを見つけたので、直して上司に報告したんです。ところがそれは、やってはいけないことだったようで。「自分たちは決められたスコープ(業務範囲)の中で時間を使い、パフォーマンスを出してお金をいただく契約を結んでいる。スコープ外でいくら頑張ったとしても無駄だ」ということでした。

そのとき、「自分は役割に沿って動くことではなく、より良いものをつくることに意識が向いているエンジニアなんだ」と強く自覚しましたね。これをきっかけに、本格的に転職を考えはじめました。そんな折、ギフティ代表取締役社長の太田睦から「戻ってこないか」声をかけてもらったことがきっかけで、2014年の夏、ギフティに戻る決意をしました。

ギフティでは、朝起きたときに出社が億劫にならない

──ギフティに戻ってきてから、すでに6年が経ちました。なぜ長く働けているのでしょう?

自分の「軸」に沿った仕事ができているからだと思います。上長との1on1などを通じて、徐々に明確になってきたのですが、僕には仕事のうえで大切にしている軸が2つある。「自分のイメージした機能ををサービスに反映させられる」、そして「人と人との感情のやり取りを円滑にするサービス開発に携われる」です。そしてギフティは、まさにこれを実現できる環境。だからこそ、あまりストレスを感じずに働けているのかなと。朝起きたとき、会社に行くのが億劫になることもありません。

──素晴らしいですね!

ただ、誰もが僕のように自分の軸を満たす仕事に取り組める環境、というわけではありません。ギフティには、CtoCからBtoC、BtoBまでさまざまな事業があります。その中で自分が何をやりたいのか、どんな役割を発揮したいのかを、明確に主張する必要がある。黙っていても、理想の環境が降ってくるわけではないんです。

逆に言えば、声さえあげれば、幅広い機会が得られます。ギフティでは、フェーズやマーケットの異なるサービスを複数展開しているので、ゼロイチのサービス立ち上げから、ある程度大きくなったサービスのグロースまで、あらゆる成長機会を経験できる。幅広く経験していく過程で、向き不向きや好き嫌いをたしかめられるので、最適なキャリアを選べる可能性も高まると思います。BtoBとBtoCのサービスどちらが好きなのか、サービスやチームのサイズはどのぐらいであればやりがいを感じるのか……こうした適性は、実際に経験してみないことにはわかりませんから。

サービスの先の「人」を見られるエンジニアがフィットする

──加藤さんは今後、ギフティでどんな挑戦をしていきたいですか?

『giftee』のアプリ上で、ユーザーの感情が100%伝わる体験をつくりたいです。現状のアプリでは、デジタルギフトを買う体験が、一般的なECサイトで物を買う体験とあまり変わりません。もっと工夫する余地があると思っています。

例えば、『giftee』のアプリを使用していない人にデジタルギフトを贈る場合、デジタルギフトが購入できるWebページのURLを送ることになりますが、このプロセスが感情の伝達を妨げていると思うんです。「ありがとう」や「お疲れ様」といった想いをそのまま届けたいのに、URLが介在することで、伝わる感情が何%か削られてしまっている気がしていて。これを取り除ければ、デジタルギフトを贈る体験がもっと良いものになるはずです。

──先ほど、仕事の軸の1つとして「感情のやり取りをエンジニアリングで円滑にする」を挙げていました。まさに、その軸に沿った取り組みですね

おっしゃる通りです。世の中には、生活を便利にするためのサービスはたくさんあります。でも、気持ちの循環を支えるプラットフォームは、ギフティの他にはあまりないと思っています。

──最後に、ギフティへの入社を検討しているエンジニアに、メッセージをお願いします。

技術そのものよりも、サービスへのこだわりが強い人に、ぜひ来てほしいです。どんなに面白い技術を使ってサービスをつくったとしても、誰も使ってくれなかったら悲しいですよね。つくったものに意味を持たせてくれるのは、それを使う「人」です。常にサービスの先にある「人」を見て、どんな体験をしてもらいたいか考える。そうしたプロセスが好きな人と、一緒に働けたら嬉しいですね。

(取材・文:一本麻衣、撮影: 高橋団、編集:小池真幸