eギフトの認知度は以前よりも上がってきた。今度は“その先”へ──「あらゆるものをギフトにする」ことで実現したい世界
飲食や流通、小売業界を中心に、eギフトを生成できるSaaS「eGift System」を提供しているギフティ。
それらのクライアントを「コンテンツパートナー(以下、CP)」と呼び、さらに生成したeギフトの流通額をいかに増やしていくか、またCPのギフト事業全体をどのようにサポートしていくか、など常に“その先”を考え続けているのが、入社6年目の田渕恵理さん。
2017年にジョインして以来、営業、マネージャーと立場を変えながらも一貫してCPに関わり、現在では第二事業本部の副本部長として、Gift Creation事業全体を統括しています。
「贈りたいときに、贈りたいものを贈りたい方法で贈れる世界にしたい」
そう話す田渕さん。目標に向け日々やっていること、心掛けていることなどを、思い入れの深いエピソードとともに語っていただきました。
〈プロフィール 田渕 恵理(たぶち えり)〉
名古屋大学法学部卒業。オークローンマーケティングへ入社し、法務を担当。その後エイチームで法務部署の立ち上げに関わり、ガイアックス、リクルートジョブズと一貫して法務として活躍する。2017年2月にギフティにジョインしたのち、法務からBizdevにキャリアチェンジ。現在は第二事業本部の副本部長として、Gift Creation事業全体を統括。
目指すは「Giftify Everything」。
──田渕さんの、現在の仕事内容について教えてください。
eギフトの価値を広げ、新たなギフトのかたちを考えていく、というのが仕事です。既存のeギフトの流通額をどのように増やしていくか、はもちろん、どんなユースケースがあるのか、どんなギフトの贈り方や受け取り方が喜ばれるのか、などギフト事業全体についても考え、CPと一緒にeギフトというカルチャーを作っていくのが私のミッションです。
eGift Systemを入れてもらうのは前提にありますが、そこから先をどうしていくか。たとえば、eギフトは対象となる商品が決まっていることが多いけれど、ギフトをもらった人が選択できるようにするためにはどうすればいいのか。あるいは、オンラインで贈りたいときもあれば、手渡ししたい場合もあるだろうから、その時々に合わせて贈れるようにするためにはどうすればいいか、とか。
流通額を増やしつつ、そういう風に、ギフトのかたちやギフトの贈り方も増やしていく。最終的には、贈りたいときに贈りたいものを贈りたい方法で贈れる、そんな世界にしていきたいんです。
──田渕さんは、2017年にギフティにジョインして以来現在にいたるまで、ずっとCP向けの事業に携わられていますよね。そこから考えると、「贈りたいときに、贈りたいものを贈りたい方法で贈れる」世界に近づいてきたと感じますか。
私がジョインしたのが2017年で、そのころはそもそもeギフト自体の認知度が低く、クライアントに営業をしても「eギフトってなに?」とよく言われました。1日5、6件のアポが入っていたものの、eギフトを理解いただくことから始めなければならいことがほとんどで、反応もいまいち。
でもいまでは、マーケット全体の流通額が上がったこともあり、eギフトがどういうものなのか、eギフトの前提理解があるうえで商談できるようになりました。eギフトをギフトとして贈る、という新しい価値観が浸透してきていることを肌で感じています。
それでも、まだまだ理想とする世界には達していないと考えていて。目下で掲げているのが「Giftify Everything」というもので、「世の中のありとあらゆるものをギフトにする」を意味します。
ギフティは「キモチの循環を促進することで、よりよい関係でつながった社会をつくる」をミッションに掲げていますが、キモチを伝えるためにギフトを贈りたいと思ったときに適切なものや方法がないと、贈るのをやめよう、となり、キモチのロスが発生して、結果キモチの循環が損なわれてしまう。贈りたいと思ったときに「これを贈ろう」と思える状態にしていきたい。
そのためには、贈れるものをもっと増やしていく。たとえばこれまでCPさんは、どちらかというとチェーン店が多かった。でも今後は、その地域にしかない個店のようなお店のeギフトも贈れるといいなと考えています。
それが達成されれば、たとえば「家の近くの好きなパスタ屋さんのギフトを○○にあげよう」「ここのカフェのこの味を、△△にも味わってもらいたい」と、どんなお店でも、その場でギフトを買ってプレゼントすることができる。そういう世界を作っていきたい。
これは職業病かもしれないですが、郊外に行った際などには、ロードサイド店を見て「ここは(eギフトが)入ってる。ここは入ってない」と、つい考えてしまうんです(笑)。本当に、ありとあらゆるものをギフトにしていきたいんです。
「そういう使い方もあるんだ!」いまを動かす原体験
──田渕さんは、本当にギフトがお好きなんですね(笑)なぜ、eギフトの価値を広げていきたい、新たなかたちを作りたい、とそこまで強く思うのでしょうか。
まず前提としては、やはり私がギフトを好きというのはあると思います。そしてなによりも自身が関わったCPのギフトを誰かが買って、誰かが受け取って、という「キモチが循環する社会」の一助になれているのが嬉しい。ギフト事業に携わりたくて、ギフティに入ったので。これは2017年にジョインしてからいままで、まったくブレない気持ちです。
そしてそれを「もっと広めていきたい」と強く思ったきっかけもあって。私は大学が名古屋で、コメダ珈琲店さんが大好きなのですが、私がジョインしたころはまだeギフトを導入していなくて。4年間ほどかけて営業した結果、「やりましょう」と言ってもらえたんです。
そのことがまず嬉しいのですが、あるときに社員さんの1人が結婚式を挙げることになりました。そこで、招待された方へのプチギフトとしてeギフトを使っていただいたんです。感動したのはもちろん、「そういう使い方もあるんだ!」という驚きもあった。こうやってユースケースがクライアント発で出てきたりすることがすごいと。
新しい価値を提供する嬉しさを実感したし、同時にeギフトの汎用性の高さを知った体験でした。eギフトの価値を広げていこうと思っている現在の私にとっては、まさに原体験となるものです。
──そんな思い出があったんですね。そのようにeギフトの価値を広げたり、新たなギフトのかたちを作ったりしていく過程において、大事にしていることなどはありますか。
私たちだけが盛り上がるのではなく、ギフトの作り手であるCPと一緒に考えていく、ということを大事にしています。私たちは、システムを入れてもらって一緒に売上げを作る、SaaS型の営業。導入するまでも長いし、導入してからも長いんです。
一緒に長く走りながら同じゴールを目指して、達成したら目の前の担当者さんと喜べる。それがこの仕事の魅力で。たしかに「クライアント」ではあるのですが、同時にeギフトというカルチャーを一緒に作っていく仲間だと思っています。
こちらから営業しているものだし、CPのサービスや商品が好きだったり、ファンだったりするわけですが、あくまで業務においては対等というのが大事。対話しながらお互いに考えていくような感じです。
また私自身の気持ち、喜びみたいなものも、ここ数年で変化していて。最初はギフトをあげる、もらう、というキモチの循環に関われていることに喜びを感じていたのですが、ここ数年では、そこにギフトの作り手であるCPのキモチも入って、トライアングルの関係を意識するようになりました。
CPの商品やサービスの良さ、そこも同時に伝えていく。CPのキモチを損なわないよう、ブランドイメージを大事にしていきたい。そのように三者が幸せになるように、新たなギフトのカタチを考えつづけていきたいです。
メンバーが体現する「小指の先がかすったら自分ごと」
──現在、田渕さんは副本部長という肩書きですが、社内メンバーとはどのように関わっているのですか。また、ギフティにはどういう方が多いですか。
ギフティのメンバーは、本当にみんな素直で誠実で。「小指の先がかすったら自分ごと」という社内でよく言われることを、みんな体現している。目の前にいる人を助けたい、楽しませたい、そこを自分が手伝うことで喜びを感じられる人が多い。一緒に働いていて楽しいです。
働くうえで「なにに喜び感じるか」というのは、本当に重要で。もちろん定量的な成果も大事だけれど、いかにしてお客さんのためになるか、サービスをどう活かしてもらうか、と考えていくことも大事。ギフトという性質と、メンバーの性格が合っているような感じがします。
──今後ギフティがさらに成長していくために、田渕さんはどんなメンバーに入ってきてほしいと感じますか。
意思を持って、自ら機会を作り出しにいける人です。自分の意見を一方的に主張する、押し通すのではなくて、自分としてはどうするべきかを常に考えつつ、クライアントや社内外の方々との合意を図り、最終的にベストなゴールを見出すことができる人。
でも最初からみんな100%できるか、明確な意思を持っているかというと、もちろんそうでない方もいらっしゃる。だから「お客さんの役に立ちたい」といった漠然としたものでもいいんです。とにかく、なにかしらの「意思」みたいなものを持っていてほしい。
もともと私自身も意思というものがあまりなかった。ただキャリアの中で「あなたはどうしたいの?」と問われることが多く、あるときから「意思を持たなきゃ」と思ったんですよね。ギフティでも「自分がどうしたいか」というのが大事なので、そういう考え方ができる人が、活躍できる環境だと思います。
また、私が統括するGift Creation事業でいうと、クライアントさんとの長期的な関係値を築きながら、同じゴールを目指すことに喜びを感じられる方や、目の前の担当者の喜びを自分の喜びに感じられる方が、向いているのではないかなと思います。
(取材・文・撮影・編集:清水 翔太)